アウディを検索すると、こんな言葉が並ぶ。
「壊れやすい」「故障しやすい」「維持費が高い」「やめとけ」
これから輸入車に乗りたい人にとって、不安をあおるには十分だ。実際、筆者も購入前に同じ言葉を何度も目にした。
そのうえで筆者が選んだのは、2005年式のアウディA3(8P・3ドア)。製造から20年が経過し、購入時点で走行95,762kmという個体である。
いわば「やめとけ」と言われる条件を、ほぼすべて満たしたクルマだ。
結論から書くと、筆者のA3は今のところ、走行不能になるような故障やエアコンの故障を一度も起こしていない。 ただし、それは「何も起きていない」という意味ではないし、「誰にでもおすすめできる」という意味でもない。
この記事では、実際に何が起きて、いくら掛かっているのかなど、A3保有体験のリアルを紹介する。
なぜアウディは「壊れやすい」「やめとけ」と言われるのか

まず、なぜそう言われるのかを整理しておきたい。
① 国産車に比べて修理費・部品代が高くなる傾向
純正部品は海外から輸入されるため価格が高くなりやすく、国内在庫がなければ取り寄せになる。専用の診断機や工具が必要な作業もあり、対応できる工場も限られる。結果として、同じ内容の修理でも国産車より高くつくケースがある。
② 独自機構への不安
A3のトランスミッションであるDSG(現在のアウディでは「Sトロニック」)のような独自の機構は、「壊れたら高そう」という漠然とした不安を持たれやすい。
③ ネットの体験談が増幅されやすい
これが意外と大きい。トラブルがあった人は書き込むが、何事もなく乗っている人はわざわざ書かない。 だから検索すると故障談ばかりが目に入る。実態より悲観的な像が出来上がりやすい構造になっている。
筆者のアウディA3(8P)はこんな個体

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル | アウディA3(8P)3ドア |
| エンジン | 3.2L V型6気筒 |
| ミッション | DSG(Sトロニック) |
| 年式 | 2005年式(製造から20年超) |
| 購入時の走行距離 | 95,762km |
| 現在の走行距離 | 102,284km |
20年落ち、10万km超、3.2LのV6、そしてDSG。 「やめとけ」と言われる要素の見本市のような一台である。
実際に起きたことの全記録

購入してから今日まで、このA3に起きたことをすべて書く。
なお、以下のうち天井垂れとBピラーの塗装剥がれは、購入時点ですでに進行していた。20年落ちの個体では珍しくない症状であり、それを承知したうえで購入している。むしろ「自分で直せる範囲の劣化」だと判断できたからこそ、この個体を選んだ。
① 天井の内張りが垂れた
全面にわたって垂れ下がり、頭に触れそうな状態だった。輸入車の定番トラブルだ。業者に頼めば数万円だが、1,200円のリベットキットと作業1時間で解決した。

② Bピラーの塗装が剥がれた
A3(8P)の持病といわれる症状。純正部品を交換すれば数万円だが、部品を外して自分で再塗装した。かかったのはヤスリ代とスプレー缶代だけである。

③ 鍵の抜き差しが渋くなった
キーシリンダー内部にホコリが蓄積して起きる症状。専用のパウダースプレーで解消した。鍵穴に潤滑油(CRC等)を使ってはいけない理由も記事に書いている。

④ エンジン下部にわずかなオイル滲み
点検で見つかった。ただし「安全上問題ない範囲なので、修理は今すぐでなくてもいい」と整備工場から言われ、そのまま様子を見ている。旧い輸入車では珍しくない症状だ。
⑤ エンジンチェックランプが点灯
これが唯一、「故障」らしい故障だった。
体感できる症状は何もなかった。走りにも異常はない。ただ警告灯だけが点いた。
整備工場(越智モータース)の診断機で読み取ると、こう出た。
| コード | 内容 |
|---|---|
| 17819:002 | セカンダリーエアシステム(バンク2)少な過ぎるエアフロー |
| 17831:002 | セカンダリーエアシステム(バンク1)少な過ぎるエアフロー |
原因は、エンジンルーム内のホース1本だった。 樹脂が経年劣化で割れ、外れていたのである。

セカンダリーエアシステムは、冷間始動時に排気系へ空気を送り込んで排ガスを浄化する仕組みだ。走行性能そのものに直結する部分ではない。20年分の樹脂の劣化が、警告灯という形で出ただけだった。
「故障」と「経年劣化」は違う

ここまでの5つを並べて、気づいたことがある。
そのほとんどは「故障」ではなく「経年劣化」だ。
| 起きたこと | 原因 |
|---|---|
| 天井垂れ | 接着剤の劣化 |
| Bピラーの塗装剥がれ | 紫外線による塗装の劣化 |
| 鍵の渋さ | ホコリの蓄積 |
| オイル滲み | ガスケット類の劣化 |
| セカンダリーエアの警告灯 | 樹脂ホースの割れ |
どれも「20年経ったから起きたこと」であって、アウディだから起きたことではない。国産車でも20年乗れば、オイルは滲むし、塗装は剥がれるし、樹脂は割れる。
「壊れやすい」という言葉には、次の2つが混ざっている。
- 故障 = 本来の機能・性能が、何らかの原因によって正常に働かなくなること(走行不能など)
- 経年劣化 = 時間の経過に伴って、部品・素材の性能や状態が徐々に低下すること(どのメーカーでも起こること)
この区別をせずに「輸入車は壊れやすい」と言うのは、20年落ちの車すべてを故障車と呼ぶのと同じだと筆者は思う。
そして繰り返すが、このA3はこれまでに一度も走行不能になっていない。
維持費のリアル

とはいえ、お金はかかる。数字を出す。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 自動車税 | 66,500円/年(3.2L・13年超の重課) |
| エンジンオイル交換 | 約2万円弱/回(化学合成油・工賃込み) |
| オイル交換サイクル | 約8,000kmごと |
| 車検の整備費用 | 10万円程度を想定(税金別) |
| DSGオイル交換 | 約8万円 |
※任意保険・重量税・自賠責・燃料代は別途
ちなみに筆者の走行ペースは、納車から約5か月で6,500km。年間に換算すると15,000km前後になる。維持費は走行距離に比例する部分が大きいので、自分の年間走行距離に置き換えて考えてほしい。
たとえばエンジンオイル交換は約8,000kmごとなので、年間15,000km走るなら年2回。年5,000kmしか走らないなら年1回で済む。
ちなみに筆者が使っているエンジンオイルは、LIQUI MOLY(リキモリ)の Top Tec 4200 5W-30 New Generation だ。ドイツ製の全合成オイルである。
なぜこれなのか。理由は単純で、アウディをはじめとするVWグループの規格に正式対応しているからだ。
リキモリの公式情報によれば、この製品は VW 504 00 / VW 507 00 の承認を取得しており、VW 502 00・503 00 といった従来規格の車両にも推奨されている。BMWやメルセデス、ポルシェの規格にも対応する、いわば「ドイツ車向けの本命」といえるオイルだ。
20年落ちのエンジンにこそ、こういうきちんとしたオイルを入れておきたいと筆者は考えている。清浄分散性が高く、エンジン内部をきれいに保つ設計になっているからだ。年式が古いエンジンほど、内部のコンディション維持は効いてくる。
なお、オイル交換は越智モータースに任せており、このオイルで工賃込み2万円弱。8,000kmごとに交換している。
その他は、自動車税66,500円が地味に重い。3.2Lという排気量に加え、13年超の重課がかかるためだ。ここは避けようがない。
DSGオイル交換の8万円も大きい。ただしこれは、払う価値がはっきりしている出費だ。ミッションを壊せば桁が2つ変わる。ケチっていい場所ではない。
一方で、天井垂れもBピラーも鍵穴も、自分で直した。 業者に出せば十数万円かかっていた作業だ。
払うべきところに払い、抑えられるところは自分でやる。 これができるかどうかで、輸入車の維持費はまったく違うものになる。
修理・整備の考え方については、別記事にまとめている。

燃費のリアル|3.2L V6エンジン搭載4WDの実燃費

「アウディA3の燃費は?」という疑問にも答えておく。
| 走り方 | 実燃費 |
|---|---|
| 街乗り中心 | 約9km/L |
| 平均 | 10〜11km/L |
| ベスト記録 | 14km/L(流れの良いバイパス中心) |
3.2LのV6でquattro(4WD)という車両スペックを考えれば、この数字は妥当だと感じている。むしろ流れの良い道では14km/Lを記録するので、思ったより悪くない。
とはいえ、最近のハイブリッド車や軽自動車と比べれば燃料代はかかる。ここは「そういうクルマだ」と割り切れるかどうかである。
正直に言う|こういう人には「やめとけ」

全員におすすめする気はない。次に当てはまるなら、素直に国産車を選んだ方が幸せだと思う。
- 修理やメンテナンスに1円もかけたくない人
20年落ちの車は、必ずどこかに手が必要になる - 相談できる整備工場のあてがない人
これが一番大きい。信頼できる工場がないまま旧い輸入車を持つのは、かなりつらい - 「壊れないこと」を最優先する人
それなら年式の新しい国産車が圧倒的に合理的だ - 国産車と同じ感覚で維持費を見積もっている人
自動車税だけで66,500円かかるし、想定外の故障が発生する確率は高い。想定が甘いと後悔する
「やめとけ」という言葉は、こういう人にとっては正しい忠告である。
20年落ちの輸入車と付き合う3つのコツ

逆に、それでも乗りたい人へ。筆者が実践していることを挙げる。
① 信頼できる整備工場を見つける
これが最重要。 部品代でも工賃でもなく、相談できる相手がいるかどうかで維持のストレスはまったく変わる。
筆者は購入店の越智モータース(広島県)に11年任せている。オイル滲みの程度をきちんと見極めて「今は直さなくていい」と言ってくれるような、必要な整備と不要な整備を切り分けた現実的なアドバイスをくれるお店が理想だ。
② 自分で診断できるようにする
輸入車は診断工賃だけで数千円かかることがある。OBD2診断機を1台持っていれば、警告灯が点いてもその場で故障コードを読める。
「すぐ整備が必要なのか、様子見でいいのか」を自分で判断できる安心感は大きい。

③ 保険の内容を確認しておく
修理費が高額になりやすい輸入車だからこそ、車両保険の有無や免責金額は把握しておきたい。
【PR】保険料は見直しで変わることがある
補償内容が同じでも、保険会社によって保険料に差が出ることがある。今の契約が自分の乗り方に合っているか、一括見積もりで一度確認しておくといい。最短5分・無料で複数社を比較できる。
▶ 自動車保険を一括で見積もりする(無料)
結論:アウディは壊れやすいのか

筆者が所有したアウディは本記事で紹介した20年落ち・10万km超のA3だけである。その他の車種についての所有体験はない。その点を断ったうえで、筆者の答えはこうだ。
筆者のアウディA3(8P)は20年・10万kmを超えても、走行不能になるような故障やエアコンの故障は起きておらず、耐久性の高さを感じている。
天井も、塗装も、樹脂ホースも、20年分の時間を経た劣化はあったが、それはアウディに限らない。
ただし、メンテナンスや税金に対してお金と手間はかかる。 自動車税66,500円、DSGオイル交換8万円、そして経年劣化への対処。これを「趣味の維持費」として楽しめるかどうかが、すべての分かれ目だと思う。
楽しめるなら、20年落ちの輸入車は驚くほど面白い。 楽しめないなら「やめとけ」は正しい忠告だ。
そして、実際に所有してみて維持が負担にしかならないなら手放す判断もアリである。まずは今の相場を知ることから始めればいい。
【PR】愛車の買取相場を調べる
匿名で車種や年式から買取相場を調べられるサービスがある。全国の買取業者への一括査定にも対応しているので、売る・売らないを決める前の情報収集として使える。
▶ 愛車の買取相場を調べる(無料)
※査定を申し込むと、確認のため業者から電話連絡があります。

コメント