クルマの走行性能を向上するうえでボディ剛性は非常に重要である。
なぜならば、ボディというのは人間でいえば体幹にあたるので、サスペンションやタイヤをいくら良いものに変えてもそれらが取り付けられるボディ(体幹)がしっかりしていなければ、サスペンションやタイヤの本来の性能は発揮できないからだ。
本記事では、お手軽かつ安価にロードスターのボディ剛性を向上することができる方法を紹介する。
(NA型からND型まで使える方法である。)
ボディ剛性を向上する一般的な方法
まず、一般的かつ手軽な方法としては、ストラットタワーバーを取り付ける方法がある。
このようなタワーバーを取り付けることで、ボディの変形を抑えることができる。
その結果、例えばコーナリング時の横Gを受けた際に、今まではボディが変形して逃げてしまっていた力をしっかり受け止められるようになり、その分サスペンションが有効に仕事をするようになる。
しかし、手軽なパーツとはいえ値段は数万円するため決して安価とは言えない。また、ストラットタワーバーで補強できるのはボディの一部領域のみである。
そこで、もっと手軽に基礎的な部分のボディ剛性を向上する方法を次に紹介する。
お手軽に数百円でボディ剛性を向上する方法
ロードスターのドアを開けると、次の写真のようなドアウェッジが存在する。
一見地味な部品だが、実はクルマの走行性能に対して非常に重要な役割を担っている。
この部品に対して簡単な工作を施すことにより、ドアとボディの一体感が向上し、お手軽にボディ剛性を高めることができる。
用意するもの
次のものを用意する。
- ラバーシート(10mm厚)
- ラバーシート(1mm厚)
- 両面テープ
- パーツクリーナー
施工方法
まず、カッターナイフ等で10mm厚のラバーシートを16mm×16mmにカットする。
これを合計4個作製する。
次に、1mm厚のラバーシートを15mm×30mmにカットする。
これを合計6個作製する。
16mm×16mmのブロックをドアウェッジの隙間にはめ込む。正確にこの寸法にカットできていれば、接着剤やテープを使用しなくとも丁度良い塩梅に固定される。
目的は、ドアウェッジの圧縮方向の強化である。
次に、15mm×30mmにカットしたラバーシートを両面テープを使用してドアウェッジの受け側に貼り付ける。
貼り付ける前にパーツクリーナーでしっかり脱脂しておく。
目的は、ドアウェッジとの隙間を埋めてガッチリ一体化させることである。
以上で施工は完了である。お疲れ様でした☺️
なお、本施工によりドアが閉まりにくい場合は次のことを試して欲しい。
- ドアウェッジの位置を調整する。ドアウェッジはM10の六角ボルト2本で固定されているので、これを緩めて位置を調整する。
- 15mm×30mmのラバーシートの枚数を調整する。シリコンスプレーをドアウェッジに軽く吹いてみて、ドアを閉めた際に強く干渉している部分をオイルの付き方で確認し、その部分のラバーシートは貼らないようにする。
強化品のドアウェッジに交換する方法もある
もし今回紹介した工作の手間を省略したい場合は、強化ドアウェッジを付けてみるのも一考である。これら商品の目的も同様に、ドアと車体を強固に一体化させることである。
施工による効果(メリット)
施工前後において次のような違いを感じることができるだろう。
ドアウェッジ強化前
コーナリング時に意図した走行ラインに乗せるのが難しい。コーナー初期が曲がりにくく、後半でようやく曲がってくる感じであり、操舵に対する車両反応のリニアさに欠ける。
ドアウェッジ強化後
操縦安定性がかなり改善される。全体的に重厚感あるしっかりした乗り味になる。
具体的には、ステアリングの直進付近が締まりしっかり感が向上。コーナリング時はステアリング操作に対するリニア感が向上して狙った走行ラインに乗せるのが容易になる。端的に言えば、より意のままに走ることができドライブが楽しい。その結果、運転時の目線を自然と遠くに置くことができ、視野を広くリラックスして運転できるようになった。また、直進安定性も向上した。
乗り心地の弊害もなく、むしろ突き上げ時でも収束性の高いスッキリした乗り味になる。
まとめ
ボディ剛性は人間で言うところの体感に相当し、走行性能を引き上げるうえで非常に重要な要素である。
ロードスターには初代のNA型から最新のND型に至るまでドアウェッジが備わっている。このドアウェッジを強化することで車体とドアの一体感が向上し、クルマ全体の剛性が向上する。
しかも、タワーバーと比較して安価に剛性を向上させることができるうえに、体感しやすい効果がある。是非試してみてはいかがだろうか。
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