ロードスターRFを手に入れたら、次に考えるのがカスタムだろう。
ただ、パーツは無数にある。どこから手をつければいいのか、何が本当に効くのか——最初は誰でも迷う。
この記事では、筆者が実際にRFへ施した8つのカスタムを、費用と効果とともにすべて公開する。そして、まだ実行していないが狙っているパーツについても正直に書く。
実際に付けてどうだったか。その一次情報が、これから手を入れる人の役に立てば嬉しい。
筆者のカスタムコンセプト

先に方針を書いておく。筆者がRFに求めているのは、週末のツーリングと、時々のモータースポーツ参加を両立できるクルマだ。
- ガチガチのサーキット専用車にはしない
- かといって、見た目だけのドレスアップでもない
- 日常で乗って気持ちよく、走行会でも楽しめるバランスを狙う
ポルシェで言えばGTSとGT3の間の、ややGTS寄りというところだろうか。
だから選ぶパーツも、この軸に沿っている。極端な方向には振っていない。
実際にやったカスタム8選
① 見た目|ショートアンテナ(AutoExe)
最初に手を出したのがこれ。純正のアンテナは意外と長く、後ろから見たときの印象を左右する。AutoExeの105mmに交換するだけで、シルエットがぐっと締まる。
工具不要・手で回すだけという手軽さも、最初のカスタムに向いている。気になるラジオの感度についても記事で検証した。

② 見た目|ストーンガード
走行中に飛び石でボディを傷つけないための保護パーツ。派手さはないが、愛車を長くきれいに保つための投資だ。

③ 剛性|ドアウェッジ強化(数百円)
費用対効果という一点なら、この8つの中で断トツだと思っている。
ゴムシートを切って、ドアウェッジ(ドアと車体の接触部)に貼るだけ。材料費は数百円。それだけでハンドルを切ったときの応答がリニアになるのを体感できた。
「剛性アップ=高価なパーツ」という思い込みが、これで崩れた。

④ 剛性|リジカラ
③で剛性の効果を実感したあと、本格的に手を入れたのがリジカラだ。ボディとサブフレームの締結を強化することで、サスペンションが本来の動きをするようになる。
地味な見た目ながらも乗り心地と走行性能の二兎を追うことができるすごいパーツである。

⑤ 足回り|タイヤ(POTENZA Adrenalin RE004)
タイヤはクルマの性格を最も大きく変えるパーツだ。街乗りからサーキット走行まで対応でき、価格も現実的なRE004を選んだ。
マツ耐やサーキットトライアルのNORMALクラスに出場できるという点も、筆者の使い方に合っていた。

⑥ 制動|ブレーキパッドをZBPに交換
RFで唯一、レースのために交換したのがブレーキパッドだ。
マツダ車限定の耐久レース「マツ耐」に出場するにあたり、ZBPの HS5 を投入した。ZBPは効きレベル・耐熱レベルを分かりやすく数値で公開しているメーカーで、HS5は効き13・耐熱12(ZBP基準)という、明確にサーキット走行を前提にした材質である。
耐久レースはブレーキを連続で酷使するため、通常の走行会よりもブレーキに対する熱が非常に厳しい。純正パッドのままでは絶体にダメだ。確実な制動力のため耐熱性に余裕を持たせる必要があった。
そして耐久レース後はHS3にランクを下げた
マツ耐を終えたあと、筆者はHS3(効き10・耐熱9)に変更している。数値だけ見れば「格下げ」だが理由は2つある。
ひとつは、耐久レースが終わり、街乗りとライトなスポーツ走行主体の使い方に戻ったから。 サーキット用の材質を街乗りで使い続ける必然性がなくなった。
もうひとつは、HS3のコントロール性の高さを味わってみたかったから。 HS3はZBPのサーキット対応ラインナップの中で最もコントロール性を重視した設計とされている。効きの絶対値ではなく、踏力に対する扱いやすさを試してみたかった。
ここで言いたいのは、スペックが高いパッド=自分に合うパッド、ではないということだ。使い方が変われば、最適な材質も変わる。数値の大小ではなく、自分の走り方に合っているかで選ぶべきである。
ZBPの製品情報はこちらで確認できる。
⑦ 安定性|CX-60のマフラーハンガーに交換
「地味なのに一番驚いた」のがこれかもしれない。
マフラーハンガーとは、マフラーを車体に吊り下げているゴム製の部品だ。ここをCX-60用のマツダ純正品に交換した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部品名 | RUBBER(マフラーハンガー) |
| 品番 | T303-40-061 ※仕様変更されると末尾にアルファベットが付く |
| 備考 | マツダ純正部品/Made in Germany |

「マフラーハンガーがなんで走りに影響するの?」と思われたかもしれない。
マフラーは重量物だ。それが車体に対してわずかに揺れているかどうかで、リアの挙動・安定性は変わる。CX-60用はバネ定数が高く、マフラーがより強固に車体へ固定されるのだ。
交換後は、リアの安定性が向上したのを体感できた。特に、ジムカーナのような前後左右の変化が激しい走行シーンで顕著である。
社外の高価なパーツではなく、マツダ純正部品の流用でこの効果が得られるのは面白い。マフラー交換のような派手なカスタムではないが、こういう地味な部分こそ効くというのがクルマの奥深さだと思う。
※純正部品はディーラーや整備工場で品番を伝えれば注文できる。
交換方法
マフラーハンガーを外すのに必須の工具はマフラーハンガープライヤーだ。
リアタイヤを外してホイールハウス内からマフラーハンガーにアクセスする。
マフラーハンガープライヤーを使用して下記画像のようにするとマフラーハンガーを外すことができる。マフラーハンガーは1個ずつ交換すると良い。(全て外すとマフラーが下に落ちてくるため)

⑧ 装備|ETC車載器の設置
カスタムというより実用装備だが、RFはグローブボックスがないため、ETCの設置場所には悩まされる。候補を比較したうえで、運転席後ろの収納ボックス内に設置した。

カスタムの優先順位|予算別に考える
「何から手をつけるべきか」と聞かれたら、筆者はこう答える。
| 予算 | おすすめ | 効果 |
|---|---|---|
| 〜1,000円 | ドアウェッジ強化 | 費用対効果は断トツ。応答がリニアに |
| 〜5,000円 | ショートアンテナ/マフラーハンガー流用 | 見た目と安定性を手軽に |
| 〜3万円 | リジカラ/ブレーキパッド | 走りが明確に変わる領域 |
| 5万円〜 | タイヤ | 消耗品だが、影響は最大 |
| 10万円〜 | 車高調・ホイール | ここから先は「好み」の世界 |
筆者の実感として、最初にやるべきは剛性系だ。車両が本来持っているポテンシャルを引き出せるようになるからだ。数百円から数万円で走りの印象が変わる。しかも元に戻せるものが多いので、失敗のリスクも小さい。
見た目のカスタムは、その後でいい。
これから狙っているパーツ
ここからは検討中のパーツである。実際に装着してはいないので、その前提で読んでほしい。
車高調|ビルシュタイン B12
まず候補に上げたのがビルシュタインのB12である。これはスポーツカー向け車高調にありがちなガチガチに硬いものではなく、「ノーマル以上の乗り心地と軽快なハンドリング」と謳われるように快適性と走行性能が両立できるように開発された車高調だ。
車高の標準ダウン量は35mmであり、付属するCリングをダンパーボディに設定された複数の溝の中で希望位置に移動させることで車高を調整することができる。
懸念はバネレートの低さだ。ジムカーナやサーキット走行は今後も定期的に行う予定なのだが、B12だとバネレートが純正同等レベルなので、スポーツ走行時にその点が少し物足らないと感じるのではないかと思っている。
快適性重視で車高を下げたいのなら筆頭候補になるだろう。
車高調|ビルシュタイン B14
B12に対してもう少しスポーツ走行を視野に入れたのがB14だ。バネレートがB12の2倍以上あり、サーキットのようなスポーツ走行時においてバネ上の動き(ロール・ピッチ)を抑えることが期待される。反面、街乗りで少し硬さを感じる場面はあるだろう。とはいえこちらも街乗り用途を十分に考慮されているようなので候補のひとつだ。
エンジン系|軽量フライホイール
フライホイールの軽量化はエンジンのレスポンスアップや車両自体の軽量化が狙える。
しかしそれ以上に期待するのは、みんカラ等のネット情報によるとロードスターRFの2Lエンジンに付属するデュアル・マス・フライホイールはジムカーナのように高回転&高負荷でクラッチを断続することを多用するようなモータースポーツシーンで故障しやすいようで、その対策という意味合いが強い。
万が一フライホイールが故障すると走行不能になるリスクがあるので、本商品などに変えておくことで対策したいなと考えている。
シート|エスケレート
モータースポーツをするならシートを変えておきたい。
身体をしっかりホールドするためにフルバケットシートに交換するのが一般的だが、ロードスターは室内が狭いため、シート横幅がスリムなタイプを選ばないとシートがセンターコンソールに干渉し、前後スライドがうまくできない場合があるので注意が必要だ。
特にシートポジションが前寄りの人は気をつけた方が良い。
ロードスター用のフルバケットシートで横幅がスリムなタイプといえばエスケレートが定番のひとつだろう。TYPE-7というタイプを検討中だ。
ホイール|ADVAN Racing RSⅡ
YOKOHAMA WHEELのADVAN Racing RSⅡが良いのではないかと考えている。
まず見た目がかっこいい。均等かつ細身な10本スポークに機能美を感じる。
サイズは純正と同じ17インチを検討中だ。その場合インセット+42mmを選べば純正比3mm外出しという、安全にさり気なくツライチ方向に持っていける。(純正ホイールのインセットは+45mm)
タイヤ|ミシュラン・パイロットスポーツ5
スポーツ性と快適性の高次元の両立という点でミシュランのパイロットスポーツ5が候補だ。
以前乗っていたRX-8でもパイロットスポーツ4を履いたことがあるが、日常域のコントロール性やNVH性能からサーキットでのグリップまで高次元に両立していて、非常にレベルの高いタイヤだと感じた。
是非ともロードスターRFに履かせたいタイヤだ。
ボディ|オートエクゼ メンバーブレースキット
オートエクゼのメンバーブレースセットが気になっている。
公式サイトの説明は次のようだ。
ロアアームバーの発展形が、この「メンバーブレースセット」。ロアアームバーが左右のピボットをダイレクトに結んだ「線」であるのに対して、こちらは言わば「面」として、より広範囲な部分をカバー。前後のクロスメンバー部を中心に、オープン構造のフロア下に立体的なトラス状の高剛性スチールオーバルシャフトを張り巡らしている。
オートエグゼ メンバーブレースセットの説明
この「面で補強する」というコンセプトがユニークかつ有効なのではないかと考えている。
屋根が開閉するロードスターRFは剛性面で不利なため、フロアを面で補強するのは走行性能や走りの質感を向上するのに有効になるだろう。
ブレーキ|オートエクゼ マスターバックブレース
オートエグゼのパーツでもうひとつユニークだと思ったのがマスターバックブレースだ。
ブレーキのチューニングといえば、ブレーキパッドやローターをサーキット走行向けのスポーツタイプに変えるのが定番だが、このマスターバックブレースはエンジンルームにある倍力装置(マスターバック)を補強することで純正状態で発生する僅かな変形を抑制しリニアで正確なブレーキフィールを提供するというものらしい。
私たちが着目したのは、踏力を油圧に変換し、パッドへと伝えるブレーキペダル~マスターシリンダーに至るユニットの剛性である。本来、油圧へと変換されるはずの踏力の一部が、ユニットが装着されるバルクヘッド(エンジンルームとキャビンの隔壁)やユニット自体の僅かな歪みへと逃げ、効きの遅れとして現れてしまう
オートエグゼ マスターバックブレースの説明
まとめ|ロードスターRFのカスタムは「順番」が大事
8つのカスタムを振り返って思うのは、パーツ選びより順番の方が大事だということだ。
- まずは剛性系から。数百円〜数万円で、走りの土台が変わる
- 次に消耗品(タイヤ・ブレーキ)。使い方に合わせて選ぶ
- 見た目や高額パーツは、その後
そして⑥のブレーキパッドで書いたとおり、スペックが高いものが自分に合うとは限らない。カタログの数値ではなく、自分がどう乗りたいかで選ぶ。それがロードスターのカスタムを楽しむコツだと思っている。
ロードスターRFに乗る人の参考になれば幸いだ。


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