サーキットでクラッシュした直後、「やっちまった」と思った。
ロードスターRFでサーキットを走るのは楽しい。
岡山国際サーキットは走りごたえがあって、何度走っても気が引き締まる。
だからこそ、2コーナーで単独クラッシュした瞬間は、正直、しばらく何も考えられなかった。
「自分が下手だったのか」
「RFでサーキットは無理だったのか」
「もう走らないほうがいいのか」
そんなことばかりが頭をぐるぐる回っていた。
この記事は、速さ自慢でも武勇伝でもない。
同じように岡山国際を走ろうとしている人、ロードスターRFでサーキットを楽しみたいと思っている人に向けて、「実際に2コーナーでやった人間の話」 を残しておこうと思って書いた。
この記事を書く理由

サーキットでクラッシュした体験は、正直あまり表に出したいものではない。
恥ずかしさもあるし、「下手だと思われるのではないか」という気持ちもある。
それでもこの記事を書く理由は一つだ。
同じ場所、同じ車で、同じことをしようとしている人が必ずいる からである。
ロードスターRFで岡山国際サーキットを走る人は少なくない。
その中で、2コーナー(ウィリアムズコーナー)は特に事故が起きやすい場所だ。
実際にそこで単独クラッシュした当事者として、これから走る人の参考になるなら、この体験には意味があると考えた。
岡山国際サーキット 2コーナー(ウィリアムズコーナー)とは

岡山国際サーキットの2コーナーは、1コーナーの直後に続く中速の左コーナーである。
コース図を一見すると大きなトラブルが起きにくそうなレイアウトだが、実際は非常に難しい。
特徴は以下の通りである。
- 1コーナーからの流れでスピードが乗りやすい
- 路面が逆バンクになっており、コーナー全域でクルマがアウト側へ膨らみやすい
- 奥に行くほど曲率がきつく、コーナー出口でアウト側に膨らみやすい
- ミスをしたときのエスケープゾーンがイン・アウト側ともに極めて少ない
「行けそうに見えるが、行けない」
これが2コーナーの本質だ。
当日の状況とロードスターRFの状態
当日はドライコンディションで、特別に悪い条件ではなかった。
ただ、クルマの方はあまりシャキッとせず、気持ちよく走れない感じがあった。
コーナリング時に接地感が希薄で、ブレーキングでもやや不安定な感じだったのである。
そんな状態ながらも頑張って走らせ、1コーナーが決まり、2コーナーへの進入やクリッピングポイントへの付き方もさほど悪くなかった。
あとは「コーナー脱出で加速していくだけ」という気持ちが勝っていた。
今振り返ると、ここがすでに分岐点だった。
アウト側に膨らんだ瞬間、何が起きていたか

2コーナー進入時、フロントはしっかり入っていた。ステアリング操作に対してクルマは素直に反応していた。
そして、クリッピングポイントへの付け方もさほど悪くなかった。
2コーナーは、オーバースピードで進入してしまって入口で挙動を乱すことが一番怖いので、そうならずに安定してクリッピングポイントに付けたことで少し安堵し、「後はステアリングを戻しながら加速していくだけ」という気持ちになった。
しかし、アクセルを開けるタイミングが少し早かったため、狙いの走行ラインに対して外側に膨らんでしまい、外側タイヤ(右側のタイヤ)が縁石を超えてグラベルに落ちてしまった。
次の瞬間、リアが外側にスライドするとともに車体全体が内側に巻き始めた。
じわりではなく、スッと抜ける感覚だった。
カウンターを当てるも遅く、クルマはイン側へ向かっていった。
修正する猶予はほとんどなかった。
結果は単独クラッシュ。
誰とも接触していないが、完全に自分のミスである。

クラッシュの原因
運転操作について
直接的な原因は
- カウンターステアを当てるタイミングが遅い
- カウンターステアを当てる操舵速度が遅い
という2点であろう。
運転操作と車両挙動の時系列を図にすると次のようになる。

車両状態について
先ほど述べた通り、走行開始時からクルマがシャキッとしておらず、気持ちよく走れない感じがあった。
今から振り返ると、アライメントとタイヤ空気圧のセッティングが良くなかったのではないかと思っている。
上記記事で紹介した「ワインディング向けアライメント」で走ったのだが、やはり、ロードスターRFは純正サスではロール角が大きいため「ワインディング向けアライメント」ではコーナリング時の対地キャンバー角が足りず、その結果、タイヤの接地面積が小さくグリップが足らない状況ではなかったかと推測している。
したがって、ロードスターRFでサーキットを走る際はキャンバー角をしっかり付けることが重要であろう。
正直に言うと、その周回では防げなかった
よく「何が悪かったのか」と聞かれるが、
正直に言えば、その瞬間に何かをして防げたとは思っていない。
ミスは、もっと前に起きていた。
- アクセルを開けるタイミングとその操作量
- イマイチ接地感の無い車両セッティング・状態
- 集中力
2コーナーは、リアが出てからではほぼ間に合わない。
修正できる人は、そもそも限界に踏み込んでいない。
つまり、判断を誤ったのはハンドルを切った瞬間ではなく、
その手前だったということだ。
次に走る人へ、これだけは伝えたい
多くのアドバイスを並べるつもりはない。
一つだけ伝えたいことがある。
岡山国際の2コーナー(ウィリアムズコーナー)は、調子が良い日ほど抑えるべき場所である。
- 1コーナーが決まったとき
- 周回がまとまってきたとき
- クルマと対話できていると感じたとき
そういうときこそ、2コーナーだけは一段階抑える。
速さを求めるより、安全に立ち上がることを優先すべきだ。
クラッシュ後の気持ちと、今思うこと
クラッシュ直後は、正直かなりしんどかった。
「もう走らないほうがいいのではないか」とも思った。
しかし時間が経って冷静になると、
この経験が無駄だったとは思えなくなった。
限界を知らなければ、限界を超えた理由も分からない。
サーキットはそういう場所だ。
もちろん、クラッシュを推奨するつもりはない。
だが、真剣に走っていれば、誰にでも起こり得ることでもある。
まとめ:岡山国際2コーナーでやったのは、あなただけじゃない
岡山国際サーキットの2コーナーで単独クラッシュする人は少なくない。
それは下手だからでも、無謀だからでもない。
限界に近づいたからこそ起きた結果である。
もしこの記事を読んでいる人が、
これから岡山国際を走ろうとしているなら、
2コーナーだけは少しだけ慎重になってほしい。
そして、クルマの些細な違和感にも感度を上げてほしい。
それだけで、防げるものは確実にある。
そして、筆者にとっては運転スキルとメンタルを鍛えることが根本的な再発防止になるであろう。


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