ロードスターRFはオープン・スポーツカーであり、雪道走行には不向きと思われがちだ。しかし、ロードスターRFは雪道を走ることができる。適切な準備を行えば雪道でもそのポテンシャルを発揮し、冬のドライブを楽しむことができる。
この記事では、ロードスターRFが雪道を走れる理由とその楽しみ方について解説する。
ロードスターRFが雪道を走ることができる理由
低重心による安定性
ロードスターRFは軽量かつ低重心とされた設計が特徴である。雪道ではクルマの挙動が不安定になりがちだが、この特徴が地に足がついたような安定感を提供する。そして、ロードスターRFのコンパクトなボディは狭い道やコーナーの多い山道でも扱いやすい。
バランスに優れた重量配分と後輪駆動
FR(後輪駆動)はFF(前輪駆動)やAWD(四駆)に比べて滑りやすく雪道に向いていないと言われるが、これは半分正しく半分間違いだ。FRの弱点は雪道での発進の部分であり、走り出してしまえばバランスに優れた前後重量配分や、操舵は前輪で推進は後輪と役割分担された駆動系によりむしろクルマをコントロールしやすい。技量と場所が許せば後輪駆動特有のドリフト感覚を楽しむことも可能であり、ロードスターRFのハンドリング性能が雪道でも、いや雪道だからこそ活きる。
意外と高い最低地上高
公式カタログによるとロードスターRFの最低地上高は145mmである。これはタイヤが17インチの205/45R17と比較的大径であることに由来している。
一般的な乗用車に近い最低地上高のため、積雪路を走行しても意外とフロア下を擦らずに走行できるのである。
雪道を走るための準備と装備
スタッドレスタイヤの重要性
雪道走行時の必須アイテムはスタッドレスタイヤだ。これが雪や氷の路面でグリップを発揮し安全な走行に寄与する。また、雪道においてスタッドレスタイヤやチェーンを装着して滑り止め措置を講じることは法令で義務付けられているので必ず行おう。
スタッドレスタイヤの銘柄は様々あるが、万人におすすめできるのは北海道・北東北主要5都市での装着率No.1(公式HP)と謳われるブリヂストンのブリザックだ。その雪上・氷上性能の高さから雪国で絶大な信頼を得ている。
また他の選択肢としては、雪上性能だけでなく普段のドライ性能やウェット性能にも配慮された欧州スタッドレスを選ぶのも良いだろう。
筆者は雪上だけでなく普段のアスファルト路面も走ることが多いため、コンチネンタルのバイキングコンタクト8をロードスターRFに装着している。
実際に履いてみると、雪上での発進・停止がしっかり行える性能を備えながらもドライ路面での直進安定性やコントロール性が高く、乗り心地も良い。トータルバランスに優れた欧州スタッドレスの醍醐味を味わえる。
VikingContact 8についてはこちらの記事で解説している。
チェーンの携行
スタッドレスタイヤでも対応できない過酷な状況に備えてタイヤチェーンを携行することをおすすめする。特に山道では予期せぬ積雪に遭遇することもあるため、タイヤチェーンがあると安心感が増す。
また、2018年より運用が開始されたチェーン規制ではスタッドレスタイヤのみでは通行できずタイヤチェーンが必須である。
脱出用品
積雪が少ない地域や除雪された道路状況の良い場所を選んで走行するのが理想だ。しかし、路面は除雪されていても路肩や商業施設の駐車場は深い積雪状態のままという場面は多い。そんなシーンで万が一スタックした場合に備えて、トランクには雪かき用スコップや牽引ロープを常備しておくと安心だ。
雪道の運転操作で注意すること
丁寧なアクセルとブレーキ操作
雪道では急なアクセル操作やブレーキングは避けるべきだ。ロードスターRFのリニアなアクセルレスポンスを活かし、丁寧な操作を心がける。また、エンジンブレーキを活用することでスリップを防ぎながら減速できる。
カーブでのコントロール
ステアリング操作も急な操作は避け丁寧に行うべきだ。ステアリングとアクセルの調整が鍵となる。雪道のカーブでは、目線を遠くにおいて先の道路状況を把握することで早めの操作を心がけよう。早めに丁寧に操舵することで路面μ(摩擦係数)の低い状況においてもタイヤのグリップを最大限に引き出し安全に走行することができる。また、減速を早めに終わらせてコーナリング中は少しアクセルを踏むことで車体が安定する。
ロードスターRFは重量バランスに優れハンドリング性能が高いため、適切な操作をすれば安定したコーナリングが可能だ。
ところで、筆者のロードスターRFに先日リジカラを施工した。このパーツによりサスペンションがよく動くようになったためか、運転操作に対するクルマの応答がより素直になっていてコントロール性が高い。雪や氷で荒れた路面を走行しても乗り心地が良い。雪道ドライブにおいてもおすすめできるパーツかもしれない。
上り坂と下り坂の走り方
上り坂ではできるだけ停止しないようにする。そのために車間距離を開けて先の交通状況を素早く察知する運転が大事だ。雪道では一度止まると発進するのが難しいからだ。またトラクションを確保するために一定のアクセル操作を保つことが重要だ。
下り坂では、早めの減速とエンジンブレーキを組み合わせて、スリップを防ぐよう心がける。
雪道ドライブの楽しみ方
景色を楽しむ
ロードスターRFで雪道を走ると、普段見られない美しい雪景色を楽しむことができる。雪化粧した山々や凍った湖の風景は、まさに冬の特権だ。おすすめルートとしては、降雪の少ない地域の山間部のワインディングや雪が圧雪されている観光道路などがある。
あえてのオープン
ロードスターRFならではの楽しみは、雪が降る中でのオープンドライブだ。天候が穏やかな日に屋根を開けて走ると、澄んだ空気と雪の香りがドライブを一層特別なものにしてくれる。防寒対策として、ヒーターを最大にし、厚手のジャケットや手袋を準備すると良い。
雪道ドライブの注意点
安全第一の心構え
雪道では無理をしないことが重要だ。道路状況や天候を事前に調べ危険な場所は避けるようにする。また、夜間は路面凍結のリスクが高いため日中の走行を心がけたい。
周囲の車との距離を確保
雪道では制動距離が長くなるため、通常よりも大きめの車間距離を保つ必要がある。ロードスターRFはブレーキ性能が優れているが、路面状況次第ではスリップする可能性があるため注意が必要だ。
走行後のメンテナンス
雪道を走行した後は、車体や下回りの洗浄を行うことで塩害からクルマを守ることができる。凍結防止剤はたいてい塩化カルシウムのため車体を腐食しやすい。早めに汚れを落とそう。
ロードスターRFで雪道を楽しもう
ロードスターRFは、適切な装備と運転技術があれば雪道でもその魅力を存分に発揮することができる。低重心設計と優れたハンドリング性能が雪道ドライブを支え、美しい冬の景色とともに特別な体験を提供してくれる。
愛車で雪道を楽しみたいと考えている方は、ぜひスタッドレスタイヤや必要な装備を準備し、ロードスターRFと一緒に冬のドライブを満喫してほしい。
コメント